実測データ: AI検索経由の問い合わせ率は自然検索の3.2倍だった

執筆: 株式会社センダー(AI・データを活用したマーケティング支援)

当社(センダー)が支援先のGA4データ1年分を分析した結果、AI検索経由でサイトを訪れた人が問い合わせに至った割合は、自然検索経由の3.2倍でした。対象は当社が支援する住宅設備EC1社で、2026年6月に分析しました。

この記事では、分析の対象と方法、結果の詳細、なぜこの差が生まれると見込まれるかの仮説、そしてこの結果から言えること・言えないことを、実測データにもとづいて公開します。2026年8月時点の情報です。

調査の概要

今回の分析の対象と方法は次の通りです。支援先を特定できる情報は含めず、業種名(住宅設備EC)のみを示しています。個別の支援先が特定される情報を公開することは避けつつ、他社が参考にできる形で実測データを共有することを目的としています。

項目内容
対象当社支援先の住宅設備EC1社
データGA4(Googleアナリティクス4)の1年分のセッションデータ
分析時期2026年6月
判別方法セッションの参照元に、chatgpt.comなどAIサービスのドメインが含まれるものをAI検索経由と判定

AI流入の分析は、一般に次の6つの観点で確認します。

  1. 総量(セッション数・コンバージョン数・コンバージョン率)
  2. 自然検索のコンバージョン率との比較
  3. 月次の推移
  4. 流入元の内訳(どのAIサービス経由か)
  5. 着地ページ(どのページが引用の入り口になっているか)
  6. 前年同期比

これらの観点を組み合わせることで、流入量だけでは見えない、経路ごとの成果の違いを確認できます。この記事で公開するのは、このうち年間セッション数(1)、自然検索との比較(2)、流入元の内訳(4)の3点です。判別方法の詳細(対象とするドメインの一覧、GA4での抽出手順)は、GA4でAI検索経由の流入を計測する方法で解説しています。

結果

当社支援先(住宅設備EC)のGA4データ1年分の実測・2026年6月では、次の3点が確認できました。

  1. AI検索経由のセッション数: 年間で約6,000
  2. 問い合わせ率: 自然検索経由の3.2倍
  3. 流入元の内訳: 複数のAIサービスの中で、ChatGPT経由が最も多い

年間約6,000というセッション数は、自然検索経由のセッション数と比べると小さい規模です。一方で、AI検索経由のセッションが問い合わせに至った割合は、自然検索経由のセッションが問い合わせに至った割合の3.2倍でした。流入量と問い合わせ率は、別の指標として見る必要があることを示す結果です。

セッション数だけで経路を比較すると、流入規模が大きい経路の方が優先されやすくなります。問い合わせ率という比率で見ることで、1件のセッションあたりの成果を経路間で比較でき、流入規模が小さい経路の評価が埋もれることを避けられます。

流入元の内訳では、対象期間中に計測された複数のAIサービスの中で、ChatGPT経由のセッションが最も多い結果でした。個別のAIサービスごとの比率は非公開です。

なぜ問い合わせ率が高いのか

問い合わせ率が自然検索より高くなる理由について、断定できる原因は今回のデータからは特定できません。ただし、AI検索という経路の性質から、根拠のある推測として次の3つが考えられます。

  1. AIへの相談段階で条件が絞り込まれていると見込まれます(根拠: AIとの対話は、検索キーワードより多くの条件情報を含む入力から回答が生成される仕組みであるため)。ChatGPTなどのAIに質問する際、利用者は予算や希望などの条件を文章で伝えてから回答を受け取ることが多くなります。キーワードのみを入力する検索エンジンでの検索より、1回の入力に含まれる条件の情報量が多くなりやすいため、AIが返す回答も条件に近い内容に絞り込まれやすいと考えられます。この仮説が正しければ、AI経由のセッションは、問い合わせフォームに至るまでの閲覧ページ数が自然検索経由より少ない傾向が見られるはずです。ページ回遊の指標を比較することで、検証の手がかりが得られると考えられます。
  2. 回答内で紹介されたサイトは、比較検討がある程度済んだ状態で訪問されると見込まれます(根拠: AI検索は複数ページの要約結果を提示したうえでリンクを示す仕組みであり、検索結果一覧を提示する従来の検索と経路が異なるため)。AIの回答は、複数の情報源を読んだうえで要約されたものです。利用者は回答を読む時点で、選択肢の比較検討の一部をすでに済ませています。検索結果の一覧を1件ずつ見て回る従来の検索行動と比べ、AIの回答内で紹介された少数の候補から訪問先を選ぶ流れになるため、訪問時点での関心の度合いが高くなりやすいと考えられます。この仮説が正しければ、AI経由の訪問者は、サイト内で複数の商品や記事を比較する行動が少なく、問い合わせフォームや商品ページへ直接進む比率が高くなるはずです。訪問後の行動フローを見ることで、検証できる可能性があります。
  3. 現時点のAI利用者層の特性が影響していると見込まれます(根拠: AI検索の利用者数は、自然検索の利用者数と比べて現時点では少なく、新しい手段を選択的に使う層に偏っている可能性があるため)。2026年時点でChatGPTなどのAI検索を日常的に使っている利用者は、新しい情報収集の手段を積極的に取り入れている層が中心と考えられ、こうした層は問い合わせという次の行動に移りやすい可能性があります。この仮説は、AI検索の利用者層が広がった後も問い合わせ率の差が続くかどうかを継続して観察することで検証できます。差が縮小せずに続く場合は、利用者層以外の要因が働いていると考えられます。

3つの仮説は、互いに排他的ではありません。複数の要因が同時に働いている可能性があります。いずれの仮説も、今回のデータだけでは検証が完了しておらず、今後の追加データや行動指標の分析を通じて確認する必要があります。

この結果から言えること・言えないこと

一次データを公開する記事として、この結果の適用範囲をあらかじめ明確にしておきます。

言えること

今回の実測から言えるのは、AI検索経由の流入量が自然検索と比べて小さくても、問い合わせへの寄与がある可能性がある、という点です。年間約6,000セッションという規模は、流入全体の中で大きな比率を占めるものではありません。しかし、問い合わせ率が自然検索の3.2倍という差は、流入量が小さいことを理由に対策の検討を後回しにする判断が適切かどうかを、あらためて考える材料になります。AI検索からの流入がまだ小さいことを理由に施策の検討を先送りしている場合、今回の実測は、その判断を見直す1つの材料になります。

言えないこと

一方で、次の4点は今回の実測からは言えません。

  1. 業種やサイトによって結果が変わる可能性があること: 今回の実測は住宅設備EC1社のデータです。検討期間の長さ、商品単価、問い合わせという行動が持つ意味は業種によって異なります。同じ3.2倍という倍率が、他の業種やサイトでも再現されるとは限りません。自社での判断には、自社のデータでの検証が必要です。
  2. 実際のAI経由の流入は、この数値より多い可能性があること: 今回の判別方法は、参照元のドメインからAIサービスと判定できるセッションのみを集計しています。Google検索結果内に表示されるAI Overviewsのような機能を経由した流入は、通常のGoogle検索(オーガニック検索)と参照元が同じ扱いになるため、現在の計測方法では区別できません。そのため、実際にAIの回答を経由した流入は、今回の「年間約6,000」という数値より多い可能性があります。この数値は、AI経由の流入の下限として見る必要があります。
  3. 後日の直接訪問は含まれていないこと: AIの回答でサイトの存在を知った後、その場でリンクをクリックせず、後日改めて検索や直接入力でサイトを訪れて問い合わせに至った場合、その訪問はAI経由として計測されません。この経路の問い合わせは今回の集計に含まれておらず、AI検索が問い合わせに与える影響は、実測値よりさらに大きい可能性があります。
  4. 問い合わせ(コンバージョン)の定義はサイトごとに確認が必要であること: 今回の「問い合わせ率」は、このサイトで設定されているコンバージョンの定義にもとづいています。フォーム送信・電話タップ・チャット開始など、何を問い合わせとして計測するかはサイトによって異なります。自社で同じ分析を行う際は、GA4上のコンバージョン設定が実際の問い合わせ行動を正しく捉えているかを、数値を見る前に確認することが必要です。

この4点のうち、2と3はいずれもAI検索経由の流入を少なく見積もる方向に働く限界です。実際にAI検索が問い合わせに与えている影響は、今回示した「年間約6,000」「3.2倍」という数値よりも大きい可能性が高いと考えられます。

自社で同じ分析をする方法

同じ分析は、GA4を導入しているサイトであれば再現できます。手順の概要は次の通りです。

  1. GA4のレポートで、セッションの参照元(sessionSource)を確認できるレポートを開く
  2. 参照元に主要なAIサービスのドメインを含むセッションを抽出する
  3. 抽出したセッションと自然検索のセッションで、問い合わせなどのコンバージョン率を比較する

このとき、注意が必要な点が2つあります。1つは、bing.comやduckduckgo.comは通常の検索エンジンからの流入であり、AI検索には含めないことです。もう1つは、Microsoft Copilotの参照元がbingと表記のうえで近く、混同しやすいことです。ドメインを個別に確認する必要があります。

具体的な設定手順、対象にすべきドメインの一覧、抽出時の注意点の詳細は、GA4でAI検索経由の流入を計測する方法にまとめています。

反対に、AI検索経由のセッションがほとんど確認できない場合は、現時点でその経路への投資を急ぐ必要は低いと考えられます。その場合も、月1回など期間を空けて再確認することをお勧めします。一方で、AI検索経由の流入や問い合わせが確認できた場合、次に検討するのは対策の内容です。対策は技術面の整備・コンテンツ・オフサイトの3領域に分けて整理できます。全体像はLLMOとは何か。仕組みと対策の全体像を実測データから解説で解説しています。

よくある質問

自社でも同じ倍率になりますか

同じ倍率になるとは限りません。今回の3.2倍という数値は、住宅設備EC1社の実測です。商品の検討期間、問い合わせという行動の位置づけ、AI検索を使う利用者の比率は、業種やサイトによって異なります。自社の実態を知るには、自社のGA4データで同じ方法の分析を行う必要があります。この記事で示した3.2倍という数値は、上限・下限を示すものではなく、1つの事例として参考にする位置づけが妥当です。

流入が少ないのに対策する意味はありますか

流入量が小さい場合でも、問い合わせへの寄与を確認できるなら、対策を検討する材料になります。今回の実測でも、AI検索経由のセッションは自然検索と比べて小さい規模でしたが、問い合わせ率は自然検索の3.2倍でした。対策に取り組むかどうかの判断は、流入量に加えて、問い合わせ率や、Google AI Overviewsのように今回の計測に含まれない経路が存在することも踏まえて検討することが妥当です。反対に、自社のデータでAI経由の問い合わせ率が自然検索と同程度か、それ以下であった場合は、対策の優先度を他の経路に置く判断も妥当です。

この数値は今後どうなりますか

今後の変化を示すデータは、現時点では持っていません。AI検索を使う利用者の数や使い方が変われば、この差も変わる可能性があります。AI検索を提供する各サービスの回答方式や、Googleの検索結果への統合の仕方が変われば、流入経路の判別方法自体も影響を受ける可能性があります。自社のGA4データを継続して計測し、変化を早期に把握できる状態を作っておくことが必要です。

まとめ

  • 当社支援先(住宅設備EC)のGA4データ1年分の実測・2026年6月で、AI検索経由の訪問者の問い合わせ率は自然検索の3.2倍でした
  • AI検索経由のセッションは年間約6,000で、流入元は複数のAIサービスの中でChatGPT経由が最多でした
  • 問い合わせ率が高い理由は、AIへの相談段階での条件の絞り込み、回答内で紹介されたサイトへの訪問時点での比較検討の進み具合、現時点のAI利用者層の特性が関係していると見込まれます
  • この結果は住宅設備EC1社の実測であり、業種やサイトによって数値は異なります。またGoogle AI Overviews経由の流入は判別できないため、実際のAI経由の流入と問い合わせへの影響は、この数値より大きい可能性があります
  • 同じ分析は自社のGA4データで再現できます

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