GA4でAI検索経由の流入を計測する方法。設定手順と注意点
執筆: 株式会社センダー(AI・データを活用したマーケティング支援)
「GA4でChatGPT経由のアクセス解析はできますか」に、先に答えます。GA4の標準機能で、ChatGPTなどAI検索サービス経由の流入は判別できます。追加のツールは不要です。セッションの参照元を正規表現でフィルタし、集計する方法です。
この記事では、AI流入という考え方の整理、判定に使う条件、GA4の探索レポートでの設定手順、分析の型、そして計測の限界までを、当社が支援先で実際に使っている手順のとおりに解説します。2026年8月時点の情報です。
計測の考え方。AI検索経由の訪問は「参照元」に残る
AI検索経由の流入を分けて確認する目的は、LLMO対策の効果を数値で判断することです。対策を実施しても、それがサイト全体のどの指標に影響しているかが分からなければ、施策を続けるかどうかを判断できません。GA4でAI流入を分離して集計することで、対策の効果を他の流入経路と同じ基準で比較できるようになります。
ChatGPTやPerplexityなどのAI検索サービスは、回答の中で参照したウェブページへのリンクを提示します。ユーザーがそのリンクをクリックしてサイトを訪問すると、ブラウザは訪問元のドメイン情報を引き継いで送信します。GA4はこの情報を、「セッションの参照元」というディメンション(session source)に記録します。多くの場合、メディア(session medium)は「referral」として記録されるため、GA4の初期設定にある「デフォルトのチャネルグループ」では、他の通常のリファラルサイトからの流入と同じ「Referral」チャネルに分類されます。個別のAIサービスを区別するには、この記事で説明する参照元のフィルタが必要です。
たとえば、ChatGPTの回答からのクリックであれば参照元に「chatgpt.com」、Perplexityの回答からであれば「perplexity.ai」のような文字列が記録されます。GA4には、2026年8月時点で「AI検索」を自動的に判別する専用のチャネルグルーピングは用意されていません。そのため、参照元の文字列を自社でフィルタして抽出する必要があります。これが、この記事で説明する計測方法の基本的な考え方です。
なお、GA4には、ユーザーが最初にサイトを訪れたときの参照元を記録する「最初のユーザーの参照元」という別のディメンションもあります。これは初回訪問時の値を保持し続けるため、後日AI検索経由で再訪問しても値は更新されません。今回知りたいのは「その訪問がAI検索経由だったか」という訪問単位の情報なので、訪問ごとに記録される「セッションの参照元」を使います。
この方法で計測できる範囲には限りがあります。対象になるのは、AIがその場でウェブ検索を行って回答をつくる経路からの訪問です。LLMOという施策全体の考え方や、AIが回答をつくる仕組みそのものについては、LLMOとは何かで解説しています。
AI流入の判定条件。正規表現とサービス対応表
当社では、セッションの参照元が次の正規表現に一致するセッションを「AI流入」と定義しています。
(?i)(chatgpt|openai|perplexity|copilot|gemini\.google|claude\.ai|felo|edgeservices|genspark|phind|poe\.com|you\.com)
先頭の「(?i)」は、大文字・小文字を区別しないという指定です。残りの部分は、参照元の文字列に含まれる単語の組み合わせで、複数のAIサービスを一度に判定できるようにしています。それぞれの文字列がどのAIサービスに対応するかを整理します。
| 参照元に含まれる文字列 | 対応するAIサービス |
|---|---|
| chatgpt / openai | ChatGPT |
| perplexity | Perplexity |
| copilot / edgeservices | Microsoft Copilot |
| gemini.google | Gemini |
| claude.ai | Claude |
| felo | Felo |
| genspark | Genspark |
| phind | Phind |
| poe.com | Poe |
| you.com | You.com |
正規表現では「gemini.google」のように、ドメイン全体を条件にしています。「google」のみを条件にすると、通常のGoogle検索(google / organic)からの流入もすべてAI流入として判定してしまうためです。「claude.ai」も同様に、ドメイン全体を条件にすることで、無関係な文字列との誤マッチを避けています。自社でフィルタを作成する場合も、条件を広げすぎないよう、対象のAIサービスのドメインをできるだけ具体的に指定してください。
AIサービスは新しいものが継続的に登場しています。今後もこの一覧に追加が必要になる可能性があるため、参照元の一覧を定期的に確認し、判定条件に含まれていないAIサービスからの流入がないかを確認することをおすすめします。確認する際は、フィルタをかけずに「セッションの参照元」の一覧をセッション数の降順で並べ、見慣れないドメインが含まれていないかを確認する方法が簡単です。
除外すべき参照元。bingとduckduckgoは含めない
検索エンジンのBing(bing.com)とDuckDuckGo(duckduckgo.com)は、通常の検索結果からの流入であり、AI流入には含めません。両方とも検索結果ページにAIによる要約を表示する機能を持っていますが、参照元の文字列からは、要約を経由したのか通常の検索結果一覧を経由したのかを区別できません。
特に注意が必要なのが、MicrosoftのAIチャット機能であるCopilotです。Copilotは提供される経路によって参照元のドメインが異なり、「edgeservices.bing.com」のように、ドメインの中に「bing」という文字列を含む場合があります。参照元に「bing」という文字列が含まれているかどうかのみで判定すると、Copilot経由の訪問を通常のBing検索と同じものとして扱ってしまいます。上記の正規表現では、「copilot」と「edgeservices」をそれぞれ独立した条件として持たせることで、この混同を避けています。自社でフィルタを作成する場合も、この2つの条件は個別に含めてください。この区別を誤ると、AI流入の集計に通常の検索流入が混ざり込み、問い合わせ率などの指標が実態とずれた数値になります。
GA4での設定手順。探索レポートで集計する
GA4の「探索」機能を使うと、この判定条件にもとづく集計を作成できます。始める前に、次の3点を確認してください。
- 問い合わせや購入などのコンバージョンが、GA4の「キーイベント」として既に設定されていること
- GA4プロパティを編集できる権限があること(閲覧のみの権限では、探索の作成・保存に制限がかかる場合があります)
- GA4の「データ保持」設定を確認していること(探索レポートで遡れる期間は、この設定に依存します。分析の標準構成にある前年同期比まで確認したい場合は、保持期間を長めに設定しておく必要があります)
確認できたら、次の手順で集計を作成します。
- GA4の左側メニューから「探索」を開き、「空白」のテンプレートを選んで新しい探索を作成します。
- 左側の「変数」パネルにある「ディメンション」の「+」ボタンを押し、「セッションの参照元」を検索して選択し、追加します。
- 同じ「変数」パネルの「指標」の「+」ボタンから、「セッション」と、自社がコンバージョンとして計測している「キーイベント」を追加します。
- 中央の「タブの設定」エリアで、「行」に「セッションの参照元」をドラッグします。
- 「値」に「セッション」と「キーイベント」をドラッグし、表に数値を表示させます。
- 左側の「変数」パネルの「フィルタ」に「セッションの参照元」を追加し、条件を「次と一致」ではなく「正規表現に一致」に設定して、前章の正規表現を入力します。
- 画面右上の期間セレクタで、集計したい期間を指定します。自然検索など他の流入経路と比較する場合は、同じ期間で揃えます。
- 表に、AI流入と判定された参照元ごとのセッション数・キーイベント数が表示されます。
GA4の画面表示は更新される場合があるため、項目名が実際の画面と多少異なることがあります。参照元をディメンションにし、正規表現でフィルタするという基本の考え方は変わらないため、名称が変わっていても同じ手順で対応できます。
設定が正しくできているかを確認する方法
集計結果に想定と違う数値が出た場合は、フィルタを一時的に外し、「セッションの参照元」の一覧をそのまま表示させます。この一覧を見ると、実際に記録されている参照元の文字列を確認できます。判定条件に含めていないAIサービスのドメインが含まれていないか、逆にbingのような除外すべき文字列が正規表現に混ざっていないかを、この一覧で確認してください。確認できたら、フィルタを再設定します。作成した探索は名前を付けて保存できるため、保存しておくと次回以降も同じ設定を呼び出して再利用できます。
なお、参照元のフィルタは、「フィルタ」機能の代わりに「セグメント」として作成することもできます。セグメントとして保存すると、同じ探索の中で複数のタブや切り口に同じAI流入の定義を適用できるため、着地ページ別・月別など複数の切り口で集計を作る場合は、セグメントを使う方法が効率的です。
分析の標準構成。6つの視点
集計した数値は、次の6つの視点で見ると、AI流入の実態を把握しやすくなります。
- 総量(セッション数・キーイベント数・CVR): AI流入全体でどれだけのセッションとキーイベントが発生しているかを確認します。流入の規模を把握する起点になり、他の視点で比較するときの土台にもなります
- サイト平均・自然検索CVRとの比較: AI流入のCVR(セッションに対するキーイベントの発生率)を、サイト全体の平均や自然検索のCVRと比べます。AI流入が新規の獲得経路として機能しているか、認知の経路にとどまっているかを判断する材料になります
- 月次推移: 月ごとのセッション数を並べ、増減の傾向を確認します。サイトの構成を変更した月の前後で数値がどう変わったかを確認する材料にもなります
- 流入元内訳: 判定条件に含めた各AIサービスのうち、どのサービスからの流入が多いかを確認します。利用の多いAIサービスに合わせて、コンテンツの形式を検討する材料になります
- 着地ページ: どのページがAIの回答から参照されているかを確認します。「ランディングページ」のディメンションを組み合わせることで分かります
- 前年同期比: サイト全体・自然検索・AI流入をそれぞれ前年の同じ期間と比較します。検索エンジン経由とAI経由の流入が、それぞれどう変化しているかを同じ基準で比べられます
この6つを組み合わせることで、AI流入が単発の現象か、継続的な経路になっているかを判断できます。月ごとのセッション数が少ないサイトでは、1か月分のみの増減で判断せず、複数か月の平均的な傾向で確認することが望まれます。
計測の限界。必ず伝えるべき3点
この方法には限界があります。数値を読むときは、次の3点を前提として確認してください。
- Google AI Overviewsの流入は含まれません: Google検索結果に表示されるAIによる要約(AI Overviews)経由の訪問は、参照元が「google / organic」として記録され、通常の自然検索と区別できません。そのため、この方法で集計できるAI流入は、実際のAI経由の流入より少なめに出ます。GA4上の自然検索(Organic Search)のセッション数やCVRを見るときは、その中にAI Overviews経由の訪問が一定数含まれている可能性がある、という前提で数値を解釈してください
- 後日の直接訪問によるコンバージョンは含まれません: AIの回答を見た後、その場でリンクをクリックせず、後日ブラウザに社名やURLを直接入力して訪問した場合、そのコンバージョンは直接流入として記録され、AI流入としては帰属されません。この影響の大きさをGA4のみで把握することはできませんが、問い合わせ時にきっかけを聞く運用を組み合わせると、おおよその傾向をつかめます
- キーイベント(コンバージョン)の定義を事前に確認する必要があります: 何をキーイベントとして計測するかはサイトによって異なります(問い合わせフォームの送信・電話番号のクリックなど)。たとえば、電話番号のクリックをキーイベントに含めているサイトと含めていないサイトでは、同じ流入経路でもCVRの数値が変わります。他社や他の記事で示されているCVRと比較する場合は、キーイベントの定義が揃っているかを確認してください
これらの限界があるため、この方法で出た数値は、AI経由の流入の全体量ではなく、判別できる範囲の数値として扱うことが適切です。
実測データでどのような結果が出るか
当社支援先(住宅設備EC)のGA4データ1年分を、この方法で実測しました(2026年6月)。結果は次のとおりです。
- AI検索経由のセッション: 年間約6,000
- AI検索経由の問い合わせ率: 自然検索の3.2倍
- 流入元の内訳: ChatGPT経由が最も多い(具体的な比率は非公開です)
流入量そのものは自然検索より小さいものの、問い合わせに至る割合は自然検索より高いという結果です。AIに相談する段階でニーズがある程度絞り込まれており、回答内で紹介されたサイトには検討が進んだ状態で訪問するためと見込まれます(根拠: 上記実測での問い合わせ率の差)。この結果は、AI流入をセッション数のみで評価すると、事業への影響を実際より小さく見積もる可能性があることを示しています。総量とCVRの両方を、分析の標準構成にある視点で確認することが必要です。この実測の内訳や前年同期比などの詳細は、AI検索経由の問い合わせ率は自然検索の3.2倍だったにまとめています。
よくある質問
Looker Studio(旧データポータル)でも同じ集計ができますか
可能です。Looker StudioでGA4をデータソースとして接続し、ディメンションに「セッションの参照元」、指標に「セッション」「キーイベント」を配置します。フィルタの条件に同じ正規表現を設定すれば、探索レポートと同様の集計ができます。探索レポートはその場での確認に向いており、Looker Studioは定期的なレポートを自動的に作成・共有したい場合に向いています。どちらの方法を使う場合も、判定条件の正規表現を統一しておくと、2つのレポートの数値が一致し、確認時の混乱を避けられます。
AI流入はどのくらいの頻度で確認すればよいですか
月次での確認を起点にすることをおすすめします。分析の標準構成にある月次推移や前年同期比は、月単位でデータを積み重ねることで傾向が見えてきます。サイトの構成を変更した直後など、変化を早く確認したい時期は、週次で確認することも有効です。四半期ごとに前年同期比を確認すると、季節性の影響を除いた変化も把握できます。
AI流入が0件と表示された場合、どうすればよいですか
まず、フィルタの条件が「次と一致」ではなく「正規表現に一致」になっているかを確認してください。設定の入力ミスは、0件になる原因の一つです。設定に誤りがなく、それでも0件が続く場合は、現時点で自社のサイトへのAI検索経由の訪問がまだ発生していない可能性があります。サイトへの訪問数自体が少ない場合は、AI流入という経路単体で見るのではなく、サイト全体のセッション数と合わせて確認することをおすすめします。流入がまだない場合でも、自社の情報がAIの回答にどの程度引用されているかは、別の方法で確認できます。
まとめ
- GA4の標準機能で、ChatGPTなどAI検索経由の流入を判別できます。セッションの参照元を正規表現でフィルタして集計する方法です
- 判定に使う正規表現は、chatgpt・openai・perplexity・copilot・gemini.google・claude.aiなど、AIサービスに対応する文字列の組み合わせです。bing・duckduckgoは通常検索のため含めません
- GA4の探索レポートで、参照元をディメンションに、セッションとキーイベントを指標にした表を作成し、フィルタで正規表現を設定すれば集計できます
- 分析は、総量・自然検索との比較・月次推移・流入元内訳・着地ページ・前年同期比の6つの視点で見ます
- Google AI Overviews経由の流入や、後日の直接訪問によるコンバージョンは捕捉できません。判別できる範囲の数値として扱う必要があります
自社で計測を始める場合は、まず上記の設定手順を試してください。計測した後の対策の進め方は、実装チェックリストにまとめています。自社の情報がAIにどの程度引用されているか、現状を先に確認したい場合は、当社の無料LLMO診断をご利用いただけます。計測・分析の設計から依頼を検討される場合は、LLMO対策サービスをご覧ください。



