CVRとは。計算方法と、改善の優先順位の決め方
執筆: 株式会社センダー(AI・データを活用したマーケティング支援)
CVR(コンバージョン率)は、サイトを訪れた人のうち、問い合わせ・購入・申込などの成果に至った人の割合です。計算式は「コンバージョン数 ÷ セッション数(または訪問者数)× 100」です。改善するときは、サイト全体のCVRを1つの数字として眺めるのではなく、流入から成果までを段階に分け、どの段階で人が減っているかを特定してから手を入れます。この記事では、計算方法、他社平均と比較してはいけない理由、改善の優先順位の決め方を順に説明します。2026年8月時点の情報です。
CVRの計算方法
CVRは次の式で計算します。
CVR(%) = コンバージョン数 ÷ 分母 × 100
分母には、セッション数(訪問回数)を使う場合と、ユーザー数(訪問した人の数)を使う場合があります。どちらを使っても構いませんが、社内で1つに決めて、その後も同じ分母で測り続けることが重要です。分母を途中で変えると、改善したのか集計方法が変わっただけなのかを区別できなくなります。
コンバージョン(成果)として何を数えるかも、先に決めておきます。BtoB(法人向け)の事業であれば問い合わせフォームの送信、ECであれば購入完了、採用であればエントリーの完了、といった具合です。
「有効な」コンバージョンで測る
問い合わせフォームの送信数をそのまま成果として数えると、営業目的の送信やテスト送信が混ざります。この状態でCVRを追うと、数字は動くのに商談は増えない、という食い違いが起こります。
当社が支援したBtoBサイトでは、営業目的の送信を除いた「有効なお問い合わせ」を集計の対象にしています。この定義で、支援開始から9か月時点でお問い合わせ率は約1.4%から約2.3%になり、有効なお問い合わせは前年同月比77%増(39件→69件)でした。自然検索の流入はほぼ横ばいのままです(出典: 当社支援先の実測)。
流入が増えていないのに問い合わせが増えたということは、増えた分はCVRの改善によるものだと確認できます。分母と分子の定義を先に固めておくと、こうした切り分けができます。
他社の平均CVRと比較しない
「自社のCVRは高いのか低いのか」を知りたくなりますが、他社や業界の平均値と比べても判断材料にはなりません。理由は3つあります。
- 分母の定義が同じとは限らない: セッション基準とユーザー基準では、同じサイトでも数値が変わります。
- コンバージョンの定義が同じとは限らない: 資料請求を含むか、営業目的の送信を除くかで大きく変わります。
- 流入の構成が違う: 指名検索(社名で検索した人)が多いサイトと、比較検討中の人が多いサイトでは、同じ施策でもCVRの水準が変わります。
比較すべき相手は他社ではなく、自社の過去の数値です。同じ定義で測り続けた自社の推移だけが、施策の効果を判断できる材料になります。
比較したい場合でも、比べる単位を揃えます。たとえば「広告からLPに来た人のCVR」と「自然検索から記事に来た人のCVR」は、そもそも検討段階が違うため、同じ土俵では比べられません。ページ単位・流入元単位で分けて見ます。
CVRを4つの段階に分けて課題を特定する
サイト全体のCVRが1%だと分かっても、次に何をすべきかは決まりません。訪問から成果までを段階に分け、各段階の通過率を出します。BtoBサイトの問い合わせであれば、次の4段階です。
| 段階 | 見る数値 | 下がっているときに疑うこと |
|---|---|---|
| 1. 着地 | ページ別のセッション数、直帰の割合 | 検索意図とページ内容がずれている |
| 2. 内容の理解 | 滞在時間、スクロール到達率 | 何の会社か、何ができるかが伝わっていない |
| 3. フォームへの到達 | CTAのクリック率、フォームページの表示数 | 行動を促す導線が見つからない、位置が悪い |
| 4. フォームの送信 | フォーム表示数に対する送信数 | 入力項目が多い、エラー表示が分かりにくい |
各段階の通過率を出すと、どこで人が減っているかが1か所か2か所に絞られます。そこから着手します。
当社が支援した採用LPでは、この4段階のうち「フォームへの到達」を計測しました。広告費をかけずに公開した31日間で488人が訪問し、43.6%がエントリーフォームに到達しています(出典: 当社支援先の実測)。到達率を単独で計測しておくと、応募が少ないときに、原因がLPの内容にあるのかフォームにあるのかを切り分けられます。
改善の優先順位を決める2つの基準
課題箇所が複数見つかったときは、次の2つで順番を決めます。
基準1: 影響する人数が多い段階から
段階1で半分が離脱しているサイトで、段階4のフォームだけを直しても、全体への影響は限られます。上流の段階ほど、通過する人数が多いため改善の影響が大きくなります。
基準2: 手を入れやすい箇所から
同じ影響度なら、実装の手間が小さい方から着手します。CTAの文言変更やフォームの項目削減は、ページの作り直しより短期間で試せます。効果が出れば次の投資の根拠になり、出なければ別の仮説に移れます。
この2つで並べ替えると、多くの場合「フォームの入力項目を減らす」「主要ページのCTAの位置と文言を直す」が先に来ます。ページ全体の作り直しは、その後の判断で構いません。
LPO・EFOをどう使い分けるか
CVR改善の手段には呼び名がついています。
- LPO(ランディングページ最適化): 訪問者が最初に着地するページの構成・訴求・導線を改善すること
- EFO(入力フォーム最適化): 入力フォームの項目・順序・エラー表示を改善すること
上の4段階でいえば、LPOは段階1〜3、EFOは段階4にあたります。先にどちらへ着手するかは、段階別の通過率を見てから決めます。フォームまで到達している人が少ないのにEFOから始めても、効果は限定的です。それぞれの手順はLPOとEFOの違いで解説しています。
なお、ラッコキーワードのデータ(2026年8月時点)をもとにした当社調査では、月間検索数は「LPO」が2,400、「EFO」が1,900、「CVR改善」が320でした。手段の名前で調べる人のほうが、目的(CVR改善)で調べる人より多い状態です。手段から入ると、自社に必要な段階と合わない施策を選ぶことがあります。段階別の通過率を先に見てください。
計測が整っていないとCVRは判断できない
ここまでの手順は、すべて数値が取れていることが前提です。実際には、次の状態のサイトが多くあります。
- 問い合わせがGA4にキーイベントとして記録されておらず、流入の増減しか分からない
- フォームの表示数が計測されておらず、到達率を出せない
- 1件の問い合わせが複数のイベントとして二重に記録され、実数より多く見えている
この状態では、施策を実行しても効果を確かめられません。CVR改善に着手する前に、コンバージョンが正しく記録されているかの確認から始めます。GA4での計測設計についてはGA4でAI検索経由の流入を計測する方法でも触れています。
CVRが下がったときに確認する順番
数値が下がったとき、施策の失敗と決めつける前に、次の順で確認します。上から順に、原因である確率が高く、確認にかかる手間が小さい順に並んでいます。
1. 計測が壊れていないか
サイトの改修やタグの入れ替えで、コンバージョンのイベントが記録されなくなることがあります。フォームの送信が実際に届いているのに、GA4の数値だけが落ちている場合はこれです。実際にフォームから送信し、記録されるかを確認します。
2. 分母が増えていないか
CVRは割り算です。分子(コンバージョン数)が変わっていなくても、分母(セッション数)が増えれば数値は下がります。広告の配信を広げた、検索順位が上がって関心の薄い層まで流入した、といった場合に起こります。分子と分母を別々に見れば、どちらが動いたかはすぐ分かります。
3. 流入の構成が変わっていないか
指名検索(社名で検索した人)は、他の流入よりコンバージョンに至る割合が高くなります。指名検索の比率が下がると、施策を変えていなくても全体のCVRは下がります。流入元別に分けて確認します。
4. 特定のページだけで落ちていないか
サイト全体の数値が下がっていても、原因が1ページに集中していることがあります。ページ別に分けて、下落幅の大きいページを特定します。
5. 端末別で落ちていないか
スマートフォンの表示崩れやフォームの不具合は、端末を分けて見ないと気づけません。パソコンでは問題がなく、スマートフォンだけ送信できない、という状態は実際に起こります。
ここまで確認して原因が見つからない場合に、初めて施策の内容を疑います。
期間の区切り方と、影響の切り分け
CVRを比較するときは、期間の取り方で結論が変わります。
曜日をそろえる
平日と休日ではコンバージョン率が変わる事業があります。BtoBでは平日に問い合わせが集中するため、「直近7日」と「その前の7日」のように、同じ曜日構成で比べます。7日未満の期間で比較すると、曜日の偏りが数値に出ます。
施策の実施日を記録する
ページを変更した日、広告の配信条件を変えた日、キャンペーンを始めた日を記録しておきます。記録がないと、数値が動いたときに原因の候補を絞れません。GA4には注釈を残す機能があるほか、社内の表計算ファイルに日付と変更内容を書くだけでも十分です。
変更は1つずつにする
同じ週にページの構成とフォームの項目を両方変えると、どちらが効いたか分けられません。数値で判断したい場合は、期間を分けて片方ずつ実施します。ただし、明らかな不具合(送信できない、表示が崩れる)の修正は、切り分けを待たずに直します。
よくある質問
CVRはどのくらいの期間で改善しますか。
施策の内容によります。フォームの項目削減やCTAの変更は、実装後すぐに数値の変化を確認できます。ページ構成の見直しやサイト構造の変更は、検索エンジンの評価が追いつくまで時間がかかります。当社が支援したBtoBサイトでは、計測環境の整備からサイト構造の移行、CTA・フォームの改善までを進め、9か月時点でお問い合わせ率が約1.4%から約2.3%になりました。
訪問数が少なくてもCVR改善に意味はありますか。
意味はありますが、判断には注意が必要です。月間の訪問が数十件のページでは、1件のコンバージョンでCVRが大きく動くため、施策の効果と偶然の区別がつきません。訪問が少ない段階では、CVRの数値そのものを追うより、流入を増やす施策と並行して進めることをおすすめします。
A/Bテストは必要ですか。
必要な場合と、そうでない場合があります。A/Bテストは、どちらの案が良いかを統計的に判断するための手段です。判断に足る訪問数が集まらないサイトでは、テストを回しても結論が出ません。訪問数が少ないうちは、明らかな不具合(フォームのエラー、リンク切れ、スマートフォンでの表示崩れ)の解消を優先します。
まとめ
- CVRは「コンバージョン数 ÷ 分母 × 100」。分母とコンバージョンの定義を先に決め、変えずに測り続ける
- 他社の平均値と比較しない。比較する相手は同じ定義で測った自社の過去の数値
- サイト全体のCVRではなく、着地・理解・フォーム到達・フォーム送信の4段階に分けて、人が減っている箇所を特定する
- 優先順位は「影響する人数が多い段階」と「手を入れやすい箇所」の2つで決める
- 着手前に、コンバージョンがGA4に正しく記録されているかを確認する
自社で進める場合は、まず段階別の通過率を出すところから始めてください。計測が整っておらず段階別の数値が取れない場合や、どの段階から着手すべきか判断に迷う場合は、お問い合わせからご相談いただけます。CVR改善の支援内容はCVR改善・LPO・EFOに、実際の支援内容は実績にまとめています。



