AI導入前のデータ整備は何から始める?文書・権限・更新の確認リスト
執筆: 株式会社センダー(AI・データを活用したマーケティング支援)
AI導入のデータ整備は、社内の全資料を集める作業から始める必要はありません。対象業務で何を判断し、そのためにどの情報が必要かを先に決めます。この記事では、要件定義の段階で使える棚卸しの方法を説明します。
最初に「出力」と「根拠」を対応させる
回答案、分類結果、レポートなど、作りたい出力を書き出します。その出力を人が作る場合に見る資料と、正しさを確かめる資料を整理してください。正式な根拠がない事項は、データ不足として残します。
例えば商品説明の回答案なら、製品仕様と現行の説明文が必要です。過去の担当者メールは表現の参考にはなっても、現在も有効な条件とは限りません。何を正式な情報として扱うかは業務責任者が決めます。
データの棚卸し表に入れる8項目
| 項目 | 記載する内容 | 未確認のまま進めた場合の論点 |
|---|---|---|
| 業務・目的 | どの処理のために使うか | 不要な情報まで収集する |
| 所在・形式 | 保存先、文書・表・画像など | 取り込み方法を決められない |
| 正式な管理者 | 内容を確定できる担当者 | 矛盾した情報を直せない |
| 版・適用期間 | 現行版、過去版、適用条件 | 古い内容を参照する |
| 利用・閲覧権限 | 誰が何に使えるか | 利用範囲を決められない |
| 個人情報等の扱い | 除外・置換する項目、保存条件 | 不要な情報が処理に含まれる |
| 更新方法 | 頻度、同期方法、失敗時の確認 | 変更が反映されない |
| 評価用の例 | 質問や入力と期待する結果 | 導入後の品質を判定できない |
不明な項目は空欄で済ませず、確認先と判断時期を記載します。AI導入チェックシートにも、この整理を記入できます。
文書・表・画像で確認する点は異なる
文書では、見出しと本文の関係、例外条件、添付資料への参照を確認します。見出しを取り除いて本文だけにすると、どの製品や部署の条件なのか判別できなくなる場合があります。
表では、列名、単位、集計期間、コードの意味を記載します。空欄が「未入力」なのか「該当なし」なのかも区別します。同じ取引先の表記が複数ある場合は、業務で管理している識別番号との対応を確認します。
画像やスキャン資料は、取り出した文字を原本と照合します。数値、小数点、型番、表の行列が正しく読めているかを、実際に使う資料で確認してください。
AIに渡す範囲を限定する
必要な項目と不要な項目を分け、不要な情報は入力前に除外する方法を検討します。匿名化や置換を行っても、別の項目の組み合わせで個人を識別できないかを確認します。具体的な適法性や契約上の扱いは、自社の管理担当者や専門家へ確認してください。
社内FAQでは、利用者が閲覧できる文書だけを検索対象にする設計が必要です。データを集めた後で一律に全社員へ見せる構成にしないよう、社内FAQの要件と合わせて検討します。
整備が終わっていない場合の進め方
以下は架空の検討例です。複数部署の手順書が混在している場合、まず担当部署と現行版を確認できる手順書に対象を限定します。未確認の資料は試行に含めず、誰がいつ確認するかを一覧に残します。
- 対象業務を決め、必要な資料候補を列挙する。
- 管理者と現行版を確認し、利用できる範囲を確定する。
- 確認済み資料から少数の代表例を選び、取り込みを試す。
- 取り込み結果・回答・参照先を原本と比較する。
- 不足を分類し、整備する資料と導入対象を見直す。
「資料がない」「情報が古い」「取り込みに失敗する」は原因が異なります。一括してAIの精度の問題として扱わず、業務側の確認と実装側の修正に分けます。
導入後の更新を要件に含める
資料更新時の反映担当、反映を確認する方法、旧版を使わなくする方法を決めます。参照元を消した際に検索対象やキャッシュから外れるかも確認します。手作業で更新する場合は、その工数を運用費に含めてください。
データ整備を相談する場合
データの形式、保存場所の種類、管理者の有無、利用したい業務をお伝えください。機密資料の原本を問い合わせフォームに貼り付ける必要はありません。資料の受け渡し方法は個別に確認します。
AI導入の要件定義支援では、データの棚卸しと未定事項を整理し、試行する範囲を決めます。データの準備から相談する。



