AI導入の要件定義で決めること。項目・成果物・記入例
執筆: 株式会社センダー(AI・データを活用したマーケティング支援)
AI導入の要件定義では、対象業務、使うデータ、AIが担当する処理、人が判断する箇所、完成とする条件を決めます。この記事はAI導入プロジェクトの要件を整理する手順です。AIで仕様書の文章を自動生成する方法とは目的が異なります。
最初に決めるのはツールより対象業務
「問い合わせ対応をAI化したい」では、実装範囲を特定できません。問い合わせの分類、参照情報の検索、回答案の作成、送信のどこを対象にするかを分けます。現在の担当者が、入力から完了までの流れと例外を書き出すところから始めます。
既製ツールの設定で対応できることと、個別開発が必要なことを確認します。分類条件が固定されている処理では、AIを使わないルールによる処理も比較対象に含めます。
要件定義書に含める8項目
| 項目 | 決める内容 | 確認する相手 |
|---|---|---|
| 目的・対象業務 | 何の作業を、どの範囲まで変えるか | 業務責任者 |
| 現行業務 | 入力、担当者、処理、確認、保存先 | 実務担当者 |
| データ | 所在、形式、更新、利用権限、持ち出し条件 | データ管理者 |
| 機能 | 入力、処理、出力、連携先 | 利用者・開発者 |
| 品質 | 正解の定義、許容しない誤り、確認方法 | 業務責任者 |
| 運用条件 | 利用人数、処理時間、費用上限、権限 | 管理担当者 |
| 例外・復旧 | 情報不足、接続失敗、重複、停止時の対応 | 運用担当者 |
| 受入条件 | テストデータ、判定方法、承認者 | 発注責任者 |
記入例:問い合わせ回答案の作成
以下は説明用の架空例で、センダーの導入実績ではありません。
- 対象:商品についての問い合わせに対し、承認済みのFAQから回答案を作る。
- 対象外:返金判断、契約の変更、顧客への自動送信。
- 入力:個人情報を除いた質問本文と、版を管理したFAQ。
- 出力:回答案、参照したFAQ、判断できなかった事項。
- 人の確認:担当者が内容と参照先を確認してから送信する。
- 例外:根拠が見つからないときは回答を確定せず、担当者へ戻す。
「自然な文章が出ること」だけを合格条件にせず、根拠を確認できること、対象外の依頼を処理しないこと、失敗時に元の業務へ戻れることもテストします。必要な精度や件数は業務の影響度に応じて合意します。
見積もり前に未定事項を残す方法
すべてを先に決められない場合は、未定の理由、調べる担当者、判断する時点を記載します。データ利用の承認が未了なら、承認取得を前提とした実装費と、その前の調査費を分けます。未定事項を開発者の判断に任せたまま発注しないことを推奨します。
要件定義の完了時に確認すること
対象と対象外、納品物、テスト方法、費用、顧客側の作業について双方の認識が一致しているかを確認します。変更が出た場合に、見積もり・納期を再確認する手順も決めておきます。
AI導入チェックシートには、この整理に使える空欄のテンプレートを用意しています。AI導入の要件定義支援では、業務の棚卸しから受入条件の文書化まで対応します。



