ファンドレイジングとは。寄付・会費・助成金・クラウドファンディングの違いと進め方
執筆: 株式会社センダー
ファンドレイジング(fundraising)は、NPOなどの非営利団体が、活動に必要な資金を集める取り組みの総称です。資金を集める手段には、寄付、会費、助成金、クラウドファンディングなどがあります。寄付を受け取る作業だけでなく、支援してくれる人を探し、活動を伝え、支援を続けてもらうまでの活動も含みます。2026年10月時点の情報です。
この記事では、資金の種類ごとの違いを表で整理し、寄付やクラウドファンディングとの違い、税制、進め方の一例、学ぶための資格を説明します。
ファンドレイジングの意味
ファンドレイジングは、英語の fund(資金)と raise(集める)を組み合わせた言葉です。日本では、非営利団体の資金調達を指す言葉として使われています。資金調達を担当する人は、ファンドレイザーと呼ばれます。
どこまでをファンドレイジングに含めるかは、資料によって異なります。寄付・会費・助成金に限る使い方もあれば、事業収入や行政からの委託収入まで含める使い方もあります。この記事では、非営利団体が外部から活動資金を得る手段全体を扱います。
非営利団体の資金は、商品の売上とは集まり方が異なります。寄付をする人は、対価として商品を受け取るわけではありません。寄付をする人が、団体の活動内容と資金の使い道を確かめてから支援を決める場合もあります。ファンドレイジングでは、資金を募る作業と、活動を伝える作業を一緒に進めます。
資金の種類ごとの違い
非営利団体が使う主な資金の種類を、この記事では次のように整理します。同じ種類でも、団体の規程や制度によって条件は変わります。
| 種類 | 資金を出す人 | 出す人が受け取るもの | 使い道の決め方 | 続き方 |
|---|---|---|---|---|
| 寄付 | 個人・企業 | 対価はない。お礼と活動報告を受け取る | 団体が決める。使い道を指定した寄付もある | 1回のみの寄付と、毎月などの継続寄付がある |
| 会費 | 会員(個人・法人) | 会員としての権利(内容は団体の定款や規程で決まる) | 団体が決める | 年単位などで更新される |
| 助成金 | 民間の財団・企業など | 対価はない。団体は事業を実施して報告する | 申請した事業に限られる | 募集ごとに申請し、選考を受ける |
| 補助金・委託 | 国・自治体 | 委託では、行政が業務の成果を受け取る | 事業や契約の内容に限られる | 公募や契約ごとに決まる |
| クラウドファンディング | インターネット上の支援者 | 寄付型はお礼のみ。購入型は返礼品を受け取る | 募集時に示した計画に沿って使う | 期間と目標額を決めて募集する |
| 事業収入 | 商品・サービスの利用者 | 商品・サービス | 団体が決める | 販売や利用の状況で変わる |
寄付
寄付は、個人や企業が対価を求めずに資金を出す方法です。1回のみの寄付と、毎月や毎年決まった額を出す継続寄付があります。継続寄付が増えると、団体は毎月の入金額をあらかじめ見込めます。企業からの寄付や協賛では、社内の承認を経てから申し込まれる場合があります。認定NPO法人などへの寄付には、寄付した人が受けられる税制上の優遇があります(後述)。
会費
会費は、団体の会員が定期的に納める資金です。会員の種類と権利は、団体の定款や規程で決まります。寄付と異なり、会費を納める人は会員として団体と関係を続けます。会員向けの報告会や会報は、会員が団体の活動を確かめる機会になります。
助成金・補助金
助成金は、民間の財団や企業などが、公募で選んだ事業に資金を出す制度です。国や自治体が出す資金は、補助金と呼ばれることが多くあります。呼び方と条件は制度ごとに異なります。どちらも申請書と予算書を提出し、選考を受けます。申請しても採択されるとは限りません。採択された場合も、資金は申請した事業にしか使えず、事業の終了後に報告書を提出します。制度の条件は年度ごとに変わるため、申請前に最新の募集要項を確認してください。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネット上で期間と目標額を示し、多くの人から資金を集める方法です。非営利団体の資金集めでは、お礼のみを返す寄付型と、返礼品を送る購入型が使われます。掲載するサービスには手数料がかかります。目標額に届かなかった場合に資金を受け取れるかどうかは、募集の方式によって異なります。
事業収入・委託収入
事業収入は、団体が商品の販売や講座の開催などで得る収入です。委託収入は、国や自治体、企業から業務を受託して得る収入です。どちらも対価として商品・サービス・業務の成果を提供します。
寄付とファンドレイジングの違い
寄付は、ファンドレイジングの手段の1つです。ファンドレイジングは、寄付を含む資金調達の全体と、その計画・実行・報告を指します。
| 項目 | 寄付 | ファンドレイジング |
|---|---|---|
| 指すもの | 個人や企業が対価を求めずに資金を出す行為 | 非営利団体が活動資金を集める取り組みの全体 |
| 行う人 | 寄付をする個人・企業 | 資金を集める団体 |
| 含む手段 | 寄付のみ | 寄付・会費・助成金・クラウドファンディングなど |
| 含む作業 | 申し込みと入金 | 計画、活動の発信、受け付け、お礼と報告、効果の測定 |
「募金」という言葉も使われます。募金は、寄付を呼びかけて集める行為を指します。
クラウドファンディングとの違い
クラウドファンディングも、ファンドレイジングの手段の1つです。クラウドファンディングは期間と目標額を決めて募集し、募集期間が終わると受け付けを締め切ります。ファンドレイジングは、クラウドファンディングの前後の活動も含みます。
団体は、募集を始める前に、資金の使い道と目標額の根拠を決めます。募集の期間中は、活動報告とメールで支援を呼びかけます。募集が終わったら、支援者に資金の使い道と活動の結果を報告します。クラウドファンディングの支援者は、終了後も活動報告を届ける相手になり、継続寄付を案内する相手にもなります。
認定NPO法人への寄付と税制
個人が認定NPO法人などに寄付すると、確定申告で税金の控除を受けられます。国税庁の説明では、寄付した人は次の2つのうち有利な方を選べます(出典: 国税庁タックスアンサーNo.1263「認定NPO法人に寄附をしたとき」。令和8年4月1日現在の法令等)。
| 控除の種類 | 計算の仕方 |
|---|---|
| 寄附金控除(所得控除) | 寄付した額をもとに、所得から差し引く |
| 認定NPO法人等寄附金特別控除(税額控除) | (その年に支払った寄附金の合計額 − 2,000円)× 40%を、所得税額から差し引く |
- 税額控除の額は、所得税額の25%が上限です。
- 控除の対象になる寄附金の合計額は、総所得金額等の40%が限度です。
- 寄付した人に特別の利益が及ぶと認められる寄付は、対象から除かれます。
- 「認定NPO法人等」とは、所轄庁(都道府県知事または指定都市の長)の認定または特例認定を受けたNPO法人です。
- 税額控除を受ける人は、団体が発行する寄附金の受領を証明する書類などを確定申告書に添付します。
団体が寄付ページに認定の有無と受領証の発行時期を書いておくと、寄付する人は控除の手続きを事前に確かめられます。計算の詳細は個人の所得によって変わるため、寄付する人には国税庁の案内を示してください。
資金を集める進め方の一例
非営利団体が資金を集めるときの進め方の一例を、7つの段階で示します。
- 必要な金額と使い道を決める。 年間の活動費と、事業ごとの費用を分けて書き出します。
- 資金の種類の組み合わせを決める。 毎月入る資金(継続寄付・会費)と、期間が決まった資金(助成金・クラウドファンディング)を組み合わせます。
- 支援を頼む相手を分ける。 個人、企業、財団では、申し込みまでの手順が異なります。企業には、社会貢献の担当者向けの資料を用意します。
- 活動を伝える場を整える。 活動報告、資金の使い道、団体の所在地と法人の情報を、ウェブサイトで確かめられる状態にします。
- 寄付を受け取る仕組みを整える。 決済方法、継続寄付の申し込み、受領証の発行を用意します。
- お礼と活動報告を届ける。 寄付した人にメールで報告を送り、継続寄付や次の募集を案内します。
- 段階ごとに数値を測って見直す。 団体を知ってもらう段階、サイトで活動を確かめる段階、寄付や問い合わせに進む段階に分けて、それぞれの数値を見ます。
7の計測では、寄付ボタンのクリックや寄付の完了をアクセス解析ツールで記録します。GA4(Googleのアクセス解析ツール)で成果を記録する設定は、GA4のキーイベントとはで説明しています。
団体を知ってもらう段階で使える無償の仕組み
広報の予算がない団体でも、Googleが非営利団体向けに提供する仕組みを使えます。
Google for Nonprofits(非営利団体向けプログラム)は、参加資格のある非営利団体に、Googleのサービスを無料または割引価格で提供するプログラムです。日本で対象となる法人格は、公益社団法人・公益財団法人・特定非営利活動法人・社会福祉法人・一般社団法人の5つで、法人格ごとに条件があります。対象の条件と申請の流れは、Google for Nonprofitsとはで解説しています。
Google Ad Grantsは、承認を受けた非営利団体が、Google検索の広告を1か月あたり最大1万米ドル分、無償で掲載できる制度です。毎月のクリック率を5%以上に保つなどの利用要件があります。上限額と要件は、Google Ad Grantsとはで解説しています。
当社が運用しているNPO法人のアカウントでは、2026年6〜8月の3か月に、無償枠から6,795米ドル分の広告を配信しました。同じ期間のクリック率は7.84%でした。このNPO法人では、Ad Grantsの運用に加えて、寄付ページまでの計測と助成金申請の支援も行っています(出典: NPOのGoogle Ad Grants運用とファンドレイジング支援の実績)。
ファンドレイジングを学ぶ方法と資格
日本ファンドレイジング協会は、「認定ファンドレイザー」という資格認定制度を運営しています。資格は2つの階層に分かれています(出典: 日本ファンドレイジング協会「認定ファンドレイザー資格認定制度」のページ。2026年10月18日閲覧)。
| 資格 | 対象 |
|---|---|
| 准認定ファンドレイザー | ファンドレイジングの基本的な要素を学ぶ資格。未経験者も取得できる |
| 認定ファンドレイザー | 3年以上の有償の実務経験をふまえ、包括的なファンドレイジングの力が問われる資格 |
研修の内容と受講の条件は、同協会のサイトで最新の情報を確認してください。ファンドレイザーが担当する仕事と、専門知識が必要になる理由は、ファンドレイザーとはで解説しています。
よくある質問
ファンドレイジングと募金は同じ意味ですか。
同じ意味ではありません。募金は、寄付を呼びかけて集める行為です。ファンドレイジングは、寄付に加えて会費・助成金・クラウドファンディングなども含み、資金を集める計画から報告までを指します。
職員が数人の小さな団体でも取り組めますか。
取り組めます。最初に必要な金額と使い道を決め、活動報告と資金の使い道をウェブサイトに載せます。そのうえで、寄付の申し込み方法を1つ用意します。広報の予算がない場合は、Google for Nonprofitsの対象になるかを確認してください。
助成金とクラウドファンディングは、どちらを先に検討すればよいですか。
決まった順序はありません。助成金は、申請した事業にしか資金を使えず、申請から採択までに時間がかかります。クラウドファンディングは、期間中に団体が自ら支援を呼びかける必要があります。資金を使う事業の内容と、呼びかけに使える人手を比べて決めてください。
まとめ
- ファンドレイジングは、非営利団体が活動資金を集める取り組みの総称です。寄付・会費・助成金・クラウドファンディングなどを含みます。
- 資金の種類によって、資金を出す人、使い道の決め方、続き方が異なります。
- 認定NPO法人などへの寄付では、寄付した人が所得控除か税額控除の有利な方を選べます。
- 進めるときは、必要な金額と使い道を決め、活動を伝える場と受け付けの仕組みを整え、段階ごとに数値を見ます。
- 広報の予算がない団体は、Google for NonprofitsとGoogle Ad Grantsの対象になるかを確認します。
自社で進める場合は、必要な金額と使い道を書き出すところから始めてください。進め方を相談したい場合は、お問い合わせから相談できます。センダーの支援内容はNPOマーケティング・ファンドレイジング支援に、実績はNPOのGoogle Ad Grants運用とファンドレイジング支援にまとめています。



