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Google Ad Grantsとは。月1万米ドルの上限、利用要件、停止と復元

執筆: 株式会社センダー

Google Ad Grantsは、Googleが承認した非営利団体に、Google検索の広告を1か月あたり最大1万米ドル分、無償で提供する制度です。団体は、Google for Nonprofits(非営利団体向けプログラム)の承認を受けたあとに、Ad Grantsの有効化を申請します。承認後も、毎月のクリック率を5%以上に保つなどの要件を満たす必要があります。要件を満たせない状態が続くと、アカウントは一時的に停止されます。2026年10月時点の情報です。

この記事の内容は、Googleの非営利団体向けヘルプとGoogle Ad Grantsの公式サイトの記載(2026年10月18日閲覧)にもとづいています。ポリシーは変更されるため、運用の前に公式の最新情報を確認してください。

Google Ad Grantsの仕組み

図1 Google Ad Grantsの仕組み© 株式会社センダー(クリックで拡大)

図1 Google Ad Grantsの仕組み

© 株式会社センダー(https://sender.works)

Google Ad Grantsの公式サイトのよくある質問では、制度の内容が次のように説明されています。

項目内容
提供されるもの1か月あたり最大10,000米ドル分の検索広告クレジット
費用Ad Grantsのキャンペーンに費用はかからない
未使用分翌月に繰り越されない
利用額の要件毎月1万米ドルを使う必要はない
広告の種類Google検索の結果ページに表示される、テキストの広告
表示される位置単独で表示されるか、有料広告の下に表示される
有料広告との関係有料広告のオークションより後に、別のオークションで表示が決まる

1万米ドルは制度上の上限です。上限まで配信されることを約束するものではありません。

利用できる団体と始め方

Google Ad Grantsを使えるのは、Google for Nonprofitsの承認を受けた団体です。日本で対象となる法人格は、公益社団法人・公益財団法人・特定非営利活動法人・社会福祉法人・一般社団法人の5つで、法人格ごとに条件があります。対象の条件と申請の流れは、Google for Nonprofitsとはで解説しています。

Google for Nonprofitsの承認を受けたあと、Googleのヘルプ「Google Ad Grants 有効化ガイド」の手順で有効化を申請します。

  1. ウェブサイトがHTTPSで保護され、Googleのウェブサイトに関するポリシーを満たしているかを確認する
  2. Google for Nonprofitsにログインし、Google Ad Grantsの[使ってみる]をクリックして、Ad Grantsに使うウェブサイトを入力する
  3. Ad Grantsの要件を説明する約5分の紹介動画を見て、確認のチェックボックスをオンにする
  4. [有効化リクエストを送信]をクリックする

有効化のリクエストは審査され、詳しい手順がメールで届きます。ヘルプには、審査は通常3〜5営業日かかると書かれています。

有効化の手続きの途中で、団体が自分でGoogle広告のアカウントを作成してはいけません。Ad Grantsのアカウントは、有効化の手続きの中で提供されます。また、Ad Grantsのアカウントは、Google for Nonprofitsに登録したユーザー名と同じにする必要があります。

ウェブサイトの要件

Googleのヘルプ「ウェブサイトに関するポリシー」では、Ad Grantsに参加する団体に、品質の高いウェブサイトを求めています。主な要件は次のとおりです。

  • 広告のリンク先のドメインを、団体が所有していること(.org のドメインは必須ではない)
  • 団体のミッションと活動に関する独自のコンテンツが十分にあること
  • ミッションと活動が、トップページや団体の概要ページに明記されていること
  • リンクが正しく機能し、寄付ボタンなどが動作すること
  • ページの読み込みが速く、スマートフォンでも正しく表示されること
  • サイト全体がHTTPSで配信されていること
  • AdSenseなどの広告を掲載していないこと。営利の活動がミッションに関連する限定的な範囲であること

ヘルプでは、ウェブサイトが原因で承認されない主な理由として、次の7つが挙げられています。

理由内容
独自コンテンツの不足独自の文章が少ない。1ページやPDFに頼っている。他のサイトからの転載が多い
ミッションが不明確ミッションと活動がすぐに分からない。所在地や登録番号などの情報がない
操作しにくい・リンクが無効無効なリンクや、動作しない寄付ボタンが複数ある
読み込みが遅いPageSpeed Insightsなどのツールで、特にスマートフォンでの評価が低い
HTTPSではないHTTPSを使っていないページがある。混合コンテンツの警告が出る
許可されない営利活動広告が多い。ミッションと関係のない販売が中心になっている
ドメインのリダイレクト申請したURLから、別のアドレスやSNSのページへ自動で転送される

ヘルプでは、承認されなかった場合、この一覧を使って問題をすべて修正してから、有効化のリクエストを再送信するよう案内されています。

「アカウント管理に関するポリシー」が定める要件

Googleのヘルプ「アカウント管理に関するポリシー」では、Ad Grantsのアカウントに次の6つの要件が定められています。

要件内容
地域ターゲティング団体の情報やサービスが役に立つ地域を指定して広告を表示する
サイトリンク固有のサイトリンク広告アセットを2つ以上設定する
クリック率毎月のクリック率を5%以上に保つ。キーワードごとではなく、アカウント全体の要件
コンバージョン計測寄付・ボランティア登録・問い合わせなどの成果を計測し、1か月に1回以上の成果を記録する(2018年1月1日以降に作成したアカウントと、コンバージョンにもとづく自動入札を使うアカウントが対象)
入札戦略2019年4月22日以降に作成したアカウントは、スマートアシストキャンペーンを除くすべてのキャンペーンで、コンバージョンにもとづく自動入札を使う
アンケートへの回答Googleが定期的に送るプログラムのアンケートに、正確かつ詳細に回答する

各要件の補足は次のとおりです。

  • 地域ターゲティング。 主に地元の地域社会にサービスを提供する団体は、活動する町や地域でのみ広告を表示する必要があります。団体を広い地域に知らせたい場合は、1つのキャンペーンのターゲット地域を広く設定し、他の大半のキャンペーンは活動拠点の地域で表示します。
  • クリック率。 2か月続けて5%を下回ると、アカウントは一時的に停止されます。この要件は、スマートアシストキャンペーンのみを使うアカウントには適用されません。
  • コンバージョン計測。 成果の例として、寄付、メンバー登録、メール配信の登録、ボランティアの登録、請願書への署名、情報のリクエスト、電話での問い合わせなどが挙げられています。サイトの滞在時間やトップページへのアクセス数は、計測してもかまいませんが、「コンバージョン」から除外して「その他」のカテゴリにします。
  • 入札戦略。 使える戦略は「コンバージョン数の最大化」「コンバージョン値の最大化」「目標アクション単価」「目標広告費用対効果」のいずれかです。この入札ポリシーを守っていないキャンペーンは、入札戦略が自動で変更される対象になります。

成果を記録する設定は、Google広告とGA4(Googleのアクセス解析ツール)のどちらでも行えます。GA4で成果を記録する手順は、GA4のキーイベントとはで説明しています。

「非営利キャンペーン」が定めるキーワードの規定

使えるキーワードについては、Googleのヘルプ「非営利キャンペーン」に規定があります。Ad Grantsの広告とキーワードは、団体の主な活動目的を反映し、団体のプログラムやサービスに関連している必要があります。そのうえで、次の3種類のキーワードの使用が禁止されています。

禁止されているキーワード内容
1語のキーワード1語のみのキーワード。団体が所有するブランド名、一般的な病名、頭字語、ヘルプに示された少数の例外は除く。ダッシュ、ピリオド、特殊文字を含む語は1語として扱わない
一般的すぎるキーワード「面白い動画」「便利なアプリ」「電子書籍」「今日のニュース」など。他の団体の名前、地名、歴史上の出来事、人名を単独で使うことも含む
品質スコアが1または2のキーワード品質の低いキーワードを自動で一時停止する自動化ルールの設定が案内されている
  • 「[市町村名] の博物館」のように、地名を団体のサービスと組み合わせた語は使えます。市町村名を単独で使うことはできません(ヘルプの例)。
  • 違反が見つかったキーワードは、予告なくステータスが変更され、一時停止されます。変更はアカウントの[変更履歴]で確認できます。誤って変更されたと考える場合は、再審査を請求できます。
  • 品質スコアが1または2のキーワードを一時停止する自動化ルールの作り方は、Googleのヘルプ「Ad Grants ポリシー準拠ガイド」に掲載されています。同じガイドには、キャンペーンごとに2つ以上の広告グループを作ることも、必須の項目として書かれています。

当社が運用しているアカウントでは、登録キーワード6,085件を点検し、品質スコア1〜2のキーワード、他の団体の名称を含むキーワード、重複したキーワードの計50件を停止しました(出典: NPOのGoogle Ad Grants運用とファンドレイジング支援の実績)。

アカウントが停止されたときの復元

図2 審査の不承認とアカウント停止の違い© 株式会社センダー(クリックで拡大)

図2 審査の不承認とアカウント停止の違い

© 株式会社センダー(https://sender.works)

Googleのヘルプでは、ポリシーに違反したアカウントは予告なく自動で停止されることがあると書かれています。停止の原因を修正したあと、「アカウントの復元をリクエスト」から再開を申請します。「アカウント管理に関するポリシー」では、停止の原因ごとに次の対処が示されています。

停止の原因復元をリクエストする前の対処
アカウントの構成特定の地域ターゲティングを使い、サイトリンクを2つ追加する
クリック率クリック率の低いキーワードを一時停止し、アカウント全体のクリック率を要件に合わせる
コンバージョン計測ヘルプのガイドに沿って、有効なコンバージョン計測を設定する
入札戦略最初は「クリック数の最大化」でデータを集め、コンバージョン計測を実装したら「コンバージョン数の最大化」などに切り替える
アンケートへの未回答通知の受け取り先のメールアドレスが、Ad Grantsのチームからのメールを受信できるか確認し、アンケートに回答する

入札戦略の切り替えについて、ヘルプには、直近30日間のコンバージョンが15〜30件に達したときが一般的な目安と書かれています。

クリック率が原因の場合、Googleのヘルプ「Ad Grants ポリシー準拠ガイド」では、次の手順が示されています。

  1. 期間を、アカウントが有効だった直近7日間に設定する
  2. 有効なキャンペーン、広告グループ、キーワードのみを表示する
  3. キーワードを表示回数の多い順に並べる
  4. 表示回数が多く、クリック率の低いキーワードを一時停止する
  5. 絞り込んだキーワードの合計のクリック率が5%以上になるまで、一時停止を続ける

停止を防ぐには、月末を待たずにクリック率を確認します。当社が運用しているアカウントでは、注意の基準を5.5%とし、下回ったときに停止するキーワードの条件を手順書に定めています(出典: NPOのGoogle Ad Grants運用とファンドレイジング支援の実績)。

上限額に届かない場合と当社の実測値

Ad Grantsの広告は、有料広告のオークションより後に、別のオークションで表示が決まります。Ad Grantsの広告は、単独で表示されるか、有料広告の下に表示されます(Google Ad Grants公式サイトのよくある質問)。毎月の配信額は、上限の1万米ドルを下回ることがあります。

当社が運用しているNPO法人のアカウントの実測値は、次のとおりです(期間: 2026年6〜8月の3か月)。

指標値
広告の表示回数14,571回
広告のクリック数1,142回
クリック率7.84%
無償枠で配信した広告額6,795米ドル

月ごとのクリック率は、2026年6月6.78%、7月8.85%、8月7.98%、9月7.29%で、各月とも要件の5%を上回りました。3か月の配信額は6,795米ドルで、上限の1万米ドルを毎月下回っていました。当社が原因を調べた結果、このアカウントでは、原因は予算ではなく、広告の掲載順位による表示機会の不足でした。配信額は無償枠の消化額で、広告の掲載費は団体の負担になりません。

有料のGoogle広告との違いと併用

Google Ad Grantsの公式サイトのよくある質問では、Ad Grantsのアカウントと、通常の有料のGoogle広告のアカウントを同時に持てると説明されています。

項目Google Ad Grants有料のGoogle広告
広告費1か月あたり最大1万米ドル分まで無償団体が支払う
表示される場所Google検索の結果ページ検索に加えて、画像の広告や動画の広告なども使える
表示の決まり方有料広告より後の、別のオークション有料広告のオークション
利用要件クリック率5%以上、コンバージョン計測などGoogle広告の通常のポリシー

よくある質問では、有料のアカウントは、リマーケティング(サイトを訪れた人への広告)、画像の広告、動画の広告などの機能を使う手段として挙げられています。2つのアカウントは別々のオークションに参加するため、互いに競合しないと説明されています。

よくある質問

毎月1万米ドルを使い切らないと、資格を失いますか。

失いません。公式サイトのよくある質問では、利用額に関する要件はないと説明されています。使わなかった分は、翌月に繰り越されません。

Ad Grantsの参加をプレスリリースで発表できますか。

できません。Googleのヘルプ「報道機関向けの発表」では、Ad Grantsへの参加に関するプレスリリースや広報活動は許可されていません。SNS、ニュースレター、寄付のページでは、ヘルプに掲載された文言を使って参加について紹介できます。

停止されたアカウントは元に戻せますか。

戻せます。停止の原因を修正したあと、「アカウントの復元をリクエスト」から再開を申請します。原因ごとの対処は、この記事の「アカウントが停止されたときの復元」の表のとおりです。

まとめ

  • Google Ad Grantsは、承認された非営利団体が、Google検索の広告を1か月あたり最大1万米ドル分、無償で掲載できる制度です。
  • 使うには、Google for Nonprofitsの承認を受けたあと、ウェブサイトの要件を満たしたうえで有効化を申請します。
  • 「アカウント管理に関するポリシー」の要件は、地域ターゲティング、サイトリンク2つ以上、毎月のクリック率5%以上、コンバージョン計測、自動入札、アンケートへの回答の6つです。
  • キーワードは、「非営利キャンペーン」の規定により、1語のキーワード、一般的すぎるキーワード、品質スコアが1または2のキーワードを使えません。
  • クリック率が2か月続けて5%を下回ると、アカウントは一時的に停止されます。原因を修正すれば、復元をリクエストできます。
  • 上限額は制度上の上限です。Ad Grantsの広告は有料広告より後の別のオークションで表示が決まり、配信額は上限を下回ることがあります。

自社で進める場合は、ウェブサイトがHTTPSで配信され、ミッションと活動が明記されているかの確認から始めてください。申請やアカウントの見直しについて相談したい場合は、お問い合わせから相談できます。センダーの支援内容はNPOマーケティング・ファンドレイジング支援に、実績はNPOのGoogle Ad Grants運用とファンドレイジング支援にまとめています。資金集め全体の考え方は、ファンドレイジングとはで解説しています。

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