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ファンドレイザーとは。NPOの資金調達と広報に専門知識が必要な理由

執筆: 株式会社センダー

ファンドレイザーは、NPOなどの非営利団体で、寄付・会費・助成金などの資金調達を担当する人です。仕事には、資金の計画、活動の情報発信、寄付の受付の整備、寄付者へのお礼と報告、数値の測定が含まれます。これらの仕事では、広告の規定、計測ツールの設定、寄付の税制など、分野ごとの知識が必要になります。内閣府の2023年度の調査では、企業などとの連携で強化したい分野を尋ねた設問で、「宣伝・広報」を選んだ法人が認証法人で42.6%、認定・特例認定法人で59.4%でした。2026年10月時点の情報です。

この記事では、ファンドレイザーが担当する仕事と必要な知識を整理し、専門知識が必要になる理由を、調査の数値と制度の規定で説明します。資金の種類と集め方の全体像は、ファンドレイジングとはで解説しています。

ファンドレイザーとは

ファンドレイザーは、英語の fundraiser に由来する言葉で、非営利団体の資金調達を担う人を指します。団体の職員が担当する場合と、外部の専門家やボランティアが担当する場合があります。小規模な団体では、事務局の職員が広報や会計と兼ねて担当する場合もあります。

日本ファンドレイジング協会は、「准認定ファンドレイザー」と「認定ファンドレイザー」の2階層の資格認定制度を運営しています。准認定ファンドレイザーは未経験者も取得でき、認定ファンドレイザーは3年以上の有償の実務経験をふまえた資格です(出典: 日本ファンドレイジング協会「認定ファンドレイザー資格認定制度」のページ。2026年10月18日閲覧)。この資格は、法律で定められた資格ではありません。

ファンドレイザーが担当する仕事

ファンドレイザーの仕事を、作業の単位で分けると次のとおりです。1人ですべてを担当する場合も、作業ごとに担当を分ける場合もあります。

仕事内容必要になる知識
資金の計画必要な金額と使い道を決め、寄付・会費・助成金などの組み合わせを決める団体の会計、資金の種類ごとの条件
情報発信活動報告・ウェブサイト・SNS・プレスリリースで活動を伝える文章と写真の制作、検索エンジンとAI検索で読まれるページの構成
広告Google Ad Grantsなどの制度を使い、団体を知ってもらう機会を増やす広告の規定、キーワードの選定
寄付の受付寄付ページと申し込みフォームを整えるページの導線、決済サービスの設定
お礼と報告寄付者にお礼と資金の使い道を伝え、継続寄付を案内する寄付者の情報の管理、メール配信
企業との連携社会貢献プログラムや協賛の資料を作り、企業と連絡を続ける企業の検討の手順、提案資料の作成
助成金の申請募集要項に沿って申請書と予算案を作る申請様式、予算の組み方
数値の測定流入・寄付・問い合わせの数を段階ごとに記録するGA4などの計測ツールの設定

助成金は、申請しても採択されるとは限りません。

資金調達と広報に専門知識が必要になる理由

資金調達と広報の仕事には、守る必要のある規定や、設定を誤ると数値が正しく記録されない作業が含まれます。ここでは代表的な4つの例を挙げます。

図1 寄付が届くまでの段階と必要になる知識© 株式会社センダー(クリックで拡大)

図1 寄付が届くまでの段階と必要になる知識

© 株式会社センダー(https://sender.works)

広告の無償枠には運用の規定がある

Google Ad Grantsは、非営利団体が1か月あたり最大10,000米ドル分の検索広告を無償で出せるプログラムです(出典: Google Ad Grants 公式サイト「よくある質問」。2026年10月18日閲覧)。Googleの「アカウント管理に関するポリシー」には、次の要件があります(抜粋)。

要件内容
地域ターゲティング団体の情報やサービスが役に立つ地域で広告を表示するよう設定する
サイトリンク固有のサイトリンクを2つ以上設定する
クリック率毎月のクリック率をアカウント全体で5%以上に保つ。2か月続けて満たせないと、アカウントは一時停止される
コンバージョンの計測寄付や問い合わせなどのコンバージョンを計測する

出典: Google 非営利団体ヘルプ「アカウント管理に関するポリシー」(2026年10月18日閲覧)

キーワードにも規定があります。Googleの「非営利キャンペーン」のページでは、次のキーワードの使用が禁止されています。

禁止されているキーワード内容
1語のキーワード団体のブランド名、一般的な病名、頭字語などの例外を除く
一般的すぎるキーワード他の団体の名前、地名、歴史上の出来事、人名などを単独で使うことも含む
品質スコアが1または2のキーワード品質スコアは、Google広告がキーワードごとに示す1〜10の評価

出典: Google 非営利団体ヘルプ「非営利キャンペーン」。品質スコアの説明は Google 広告 ヘルプ「検索キャンペーンの品質スコアについて」(いずれも2026年10月18日閲覧)

これらの規定を守るには、キーワードごとのクリック率と品質スコアを定期的に確認し、該当するキーワードを停止する作業が必要です。制度の詳しい内容は、Google Ad Grantsとはで解説しています。

外部の寄付決済サービスを使うと、計測の設定が必要になる

寄付の申し込みに外部の決済サービスを使い、寄付フォームが団体のサイトとは別のドメイン(サイトの住所)にある場合があります。この場合、GA4では、クロスドメイン測定を設定していないと、2つのドメインを移動した1人の訪問者が、2人のユーザーの2つのセッションとして記録されます(出典: Google アナリティクス ヘルプ「クロスドメイン測定の設定」。2026年10月18日閲覧)。

広告や検索から来た人が寄付に進んだかを確かめるには、この設定と、寄付ボタンのクリックをキーイベント(成果として数える行動)にする設定が必要です。キーイベントの設定方法は、GA4のキーイベント設定で解説しています。

寄付金の使われ方に不安を感じる人が74.1%いる

日本ファンドレイジング協会の「寄付白書2025」では、全国の20〜79歳を対象とした調査で、「寄付したお金がきちんと使われているか不安に感じる」を選んだ人が74.1%でした(出典: 日本ファンドレイジング協会「寄付白書2025」のプレスリリース。2025年12月2日発表。調査は2025年2〜3月のインターネット調査)。

寄付の受付とあわせて、資金の使い道を報告するページや、寄付者へのお礼と活動報告の連絡を用意する作業が必要になります。報告の文章を作る作業と、寄付者の情報を管理してメールを送る作業では、使う知識が異なります。

寄付の税制を寄付者に説明する必要がある

認定NPO法人などへの寄付では、寄付をした人が、寄附金控除(所得控除)と税額控除のうち有利な方を選べます。税額控除の額は「(寄附金の合計−2,000円)×40%」で、所得税額の25%が上限です(出典: 国税庁タックスアンサーNo.1263。令和8年4月1日現在法令等)。寄付ページで控除の条件を説明するには、この税制の知識が必要です。

内閣府の調査で見るNPO法人の体制と取り組み

内閣府の「2023年度 特定非営利活動法人に関する実態調査」は、全国のNPO法人6,591法人を対象に、2023年7〜10月に行われました。回答したのは2,937法人で、回収率は44.6%です(出典: 内閣府「2023年度(令和5年度)特定非営利活動法人に関する実態調査」の結果について<概要版>。令和6年3月)。

結果は、認証法人と、認定・特例認定法人に分けて示されています。認証法人は所轄庁の認証を受けて設立されたNPO法人です。認定・特例認定法人は、さらに所轄庁の認定を受け、寄付をした人が税制上の優遇を受けられる法人です。

法人が抱える課題

法人が安定した経営を行ううえでの課題を、3つまで選ぶ形で尋ねた結果です。

課題認証法人認定・特例認定法人
人材の確保や教育65.6%70.6%
後継者の不足44.5%45.9%
収入源の多様化39.8%54.8%
法人の事業運営力の向上29.8%33.5%
一般向け広報の充実15.3%25.4%

職員数と収益

項目認証法人認定・特例認定法人
職員数(役員を除く)の中央値4.0人5.5人
職員が0人の法人の割合25.8%13.6%
特定非営利活動事業の収益の中央値600.4万円2,674.5万円
収益に占める寄附金の割合2.4%48.2%

寄付を集める取り組み

寄付を集めるために行っている取り組み(複数回答)と、寄付へのお礼の状況です。

項目認証法人認定・特例認定法人
特に取り組んでいることはない69.2%9.7%
SNSを活用した情報発信9.5%42.7%
寄附呼びかけのための広告掲載6.3%38.4%
寄附集めも含めた資金調達の専門家の育成・活用0.4%6.8%
寄付へのお礼を特に何もしていない58.2%11.3%
個人からの寄附の受入額の中央値0.0万円94.8万円

認定・特例認定法人は、寄付を集める取り組みを行っている割合と、個人からの寄附の受入額の中央値が、どちらも認証法人より高い結果でした。ただし、この調査から、取り組みが寄附の増加につながったという因果関係は判断できません。認定を受ける基準には、広く市民から支援を受けているかを寄附者の数などで判断する基準(パブリック・サポート・テスト)があり、この基準も差の理由の一つと見込まれます(根拠: 内閣府NPOホームページ「認定制度について」)。

企業との連携で強化したい分野

企業との連携やプロボノ(専門知識を持つ人の無償の協力)の受け入れで、強化したい分野を尋ねた結果です(複数回答。選択肢には「企業との連携は必要と考えていない」もあります)。

分野認証法人認定・特例認定法人
宣伝・広報42.6%59.4%
IT23.0%42.5%
マーケティング17.8%26.3%

どちらの法人でも、「宣伝・広報」が最も多く選ばれています。

ファンドレイザーを確保する方法

資金調達と広報の担当者を確保する方法は、主に3つです。団体の人員と予算に合わせて組み合わせることもできます。

図2 団体の中で担当するか、外部に依頼するか© 株式会社センダー(クリックで拡大)

図2 団体の中で担当するか、外部に依頼するか

© 株式会社センダー(https://sender.works)

方法内容向いている状況事前に確認すること
職員を採用する資金調達の担当として職員を雇う人件費を継続して確保できる採用後に知識を身につける期間、ほかの業務との兼務
職員やボランティアが学ぶ研修や資格の講座で知識を身につける担当できる人が団体の中にいる学ぶ期間中の業務の進め方
外部の専門家に依頼する制作会社・マーケティング会社・プロボノに作業を依頼する広告・計測・制作など、特定の作業の知識が団体の中にない依頼する範囲、費用、連絡の頻度

内閣府の調査では、企業等との連携方法として「企業等の社員のプロボノ等による技術支援」を考えている法人が、認証法人で14.4%、認定・特例認定法人で28.9%でした(出典: 同調査の概要版)。

外部の専門家に依頼したときの分担

外部に依頼しても、活動の方針と資金の使い道を決める作業は団体に残ります。専門家に任せられるのは、規定の確認や設定、制作など、知識が必要な作業です。

団体に残る作業専門家に任せられる作業
活動の方針と資金の使い道の決定広告の設定と、規定に沿ったキーワードの管理
活動の写真とメモの提供計測の設定と、月次の数値の報告
公開する内容が事実に合っているかの確認活動報告・寄付ページ・メールの制作
寄付者と企業への最終的な対応助成金の申請書と予算案の作成支援

センダーは、このうち専門家に任せられる作業を担当しています。Google Ad Grantsを運用しているNPO法人では、2026年6〜8月の3か月で、無償枠から6,795米ドル分の広告を配信し、クリック率は7.84%でした。月次のクリック率は、2026年6〜9月の各月とも5%を上回っています。詳しくはNPOのGoogle Ad Grants運用とファンドレイジング支援の実績にまとめています。

外部へ依頼する前に決める項目

外部の専門家に依頼する前に、次の6点を団体の中で決めておくと、依頼の範囲と成果の確認方法を共有できます。

  1. 依頼する範囲(広告、計測、制作、申請のどれを依頼するか)
  2. 数値で確認する指標(広告からの流入数、寄付ページへの到達数、寄付と問い合わせの件数)
  3. 連絡の方法と頻度(チャットツールを使うか、定例の確認の場を何回設けるか)
  4. 素材の提出(活動の写真・メモ・数値の種類と、提出の期限)
  5. 成果の確認方法(月次レポートに載せる項目と、作業の状況を共有する方法)
  6. アカウントの名義(広告アカウントや計測ツールは団体の名義で作り、外部の担当者をユーザーとして招待する)

Google Ad Grantsを使う場合は、団体がGoogle for Nonprofitsの対象になるかを先に確認します。確認の方法はGoogle for Nonprofitsとはで解説しています。

よくある質問

ファンドレイザーになるのに資格は必要ですか。

必要ではありません。ファンドレイザーは法律で定められた職業ではなく、資格がなくても担当できます。日本ファンドレイジング協会の資格認定制度には、未経験者も取得できる「准認定ファンドレイザー」と、3年以上の有償の実務経験をふまえた「認定ファンドレイザー」があります。

職員が少ない団体は、どの仕事から始めればよいですか。

最初に、活動報告と資金の使い道をウェブサイトに載せます。次に、寄付の申し込み方法を1つ用意し、寄付ボタンのクリックを計測します。内閣府の調査では、職員数の中央値は認証法人で4.0人でした。担当できる人が少ない場合は、広告や計測など、知識が必要な作業だけを外部に依頼する方法もあります。

プロボノとは何ですか。

プロボノは、仕事で身につけた専門知識を生かして、無償で団体に協力する活動です。広報物の制作やウェブサイトの改善などの作業で協力を受ける団体があります。内閣府の調査では、企業等の社員のプロボノ等による技術支援を連携方法として考えている法人が、認証法人で14.4%でした。

まとめ

  • ファンドレイザーは、非営利団体で資金調達を担う人です。資金の計画、情報発信、寄付の受付、お礼と報告、数値の測定を担当します。
  • 仕事には、広告の規定、計測ツールの設定、寄付の税制など、分野ごとの知識が必要です。Google Ad Grantsには、毎月のクリック率5%以上の要件やキーワードの規定があります。
  • 内閣府の2023年度の調査では、企業などとの連携で強化したい分野を尋ねた設問で、「宣伝・広報」を選んだ法人が認証法人で42.6%、認定・特例認定法人で59.4%でした。
  • 担当者を確保する方法には、採用、職員やボランティアの学習、外部の専門家への依頼があります。
  • 外部に依頼する前に、範囲・指標・連絡の頻度・素材の提出・成果の確認方法・アカウントの名義を決めます。

自社で進める場合は、活動報告と資金の使い道をウェブサイトに載せるところから始めてください。進め方を相談したい場合は、お問い合わせから相談できます。センダーの支援内容はNPOマーケティング・ファンドレイジング支援にまとめています。

まずはご相談ください

「何から手をつけるべきか分からない」という段階でも構いません。現状をうかがい、進め方のご提案から始めます。ご相談は無料です。営業目的の連絡は行いません。

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