ChatGPT広告は代理店に頼むか、自社で運用するか。判断の基準と依頼する範囲
執筆: 株式会社センダー
日本の法人は代理店を通さずに、OpenAIの広告マネージャーからChatGPT広告を出稿できます。自社で運用するか、代理店や運用代行に依頼するかは、作業量、計測の整備状況、社内の担当者の有無で決めます。自社運用に必要な作業、依頼できる範囲、判断の基準、代理店を選ぶときの確認項目を、この記事で説明します。
2026年10月時点の情報です。
判断の要点
OpenAIのヘルプセンター(2026年10月17日閲覧)の「Ads Manager の提供状況」では、日本は広告マネージャーのセルフサービスが利用可能とされています。広告を出稿し請求先となる法人が対象国に拠点を置いていることが条件です。この条件を満たす法人は代理店を通さずに出稿できます。
自社運用か依頼かは次の3つで決めます。
- 作業量: 業種の確認から成果の見直しまで、7種類の作業があります(次の章)
- 計測の整備状況: 問い合わせ完了をGA4などで数えられるかを確認します
- 社内の担当者: 広告マネージャーの設定、サイトの設定変更、成果の見直しを担当できる人がいるかを確認します
**掲載できる業種には制限があります。**OpenAIの広告ポリシー(2026年9月10日版)では、初期段階の掲載は消費者向けの分野が中心です。家庭用品・日用品、地域サービス、旅行・娯楽、デジタル製品・教育などが該当します。それ以外のカテゴリーは開始時点で原則として掲載できません。金融サービス・ヘルスケアは米国以外では原則禁止で、法律サービスは米国以外では禁止です。金融ソフトウェアと医療関連のソフトウェアは全地域で掲載できます。アルコール、たばこ、ギャンブル、政治、成人向け、個別の求人・物件の広告は禁止されています。
この制限は自社で運用する場合も、代理店に依頼する場合も変わりません。出稿できるかどうかは業種と商品・サービスごとに決まります。ChatGPT広告の仕組みと日本での提供状況は、ChatGPT広告とはで説明しています。
自社で運用する場合に必要な作業
自社で運用する場合の作業は次の7種類です。手順の詳細はChatGPT広告の出稿手順にまとめています。
| 作業 | 必要なもの(知識・権限) | 頻度 |
|---|---|---|
| 業種の確認 | 広告ポリシーを読み、自社の商品・サービスと照合する知識 | 出稿前に1回。ポリシーが更新されたとき |
| 計測の設定 | GA4の編集権限、サイトにタグを設置する権限、UTMの設計、OpenAIピクセル、必要に応じてコンバージョンAPI | 出稿前に1回。サイトを改修するたび |
| アカウントと請求 | 法人の情報、クレジットカード、ビジネス認証(最大7営業日)。国・通貨・タイムゾーンは作成後に変更できません | 最初に1回。請求は支払い基準額に達するたびと月末 |
| キャンペーン設計 | 目的(表示・クリック・コンバージョン)、日予算、期間、国、プラットフォームを決める判断 | 開始時。見直しのたび |
| コンテキストヒントと広告の作成 | 何を・誰に・いつを書く文章力、タイトル・広告文・画像の制作、サイトのクローラー設定を変更する権限 | 開始時。見直しのたび |
| 審査対応 | 広告ポリシーの知識。広告は審査を通過してから配信されます | 広告を作成・変更して提出するたび |
| 成果の確認と見直し | 広告マネージャーとGA4の数値を読む知識、見直しを決める権限 | 週次、月次 |
社内にGA4の編集権限とサイトの設定変更の権限を持つ担当者がいない場合、計測の設定と、コンテキストヒント・広告の作成が進みません(根拠: 計測の設定ではタグの設置が、広告の作成ではクローラーの許可が、サイト側の設定変更を必要とするため)。OpenAIの審査用クローラー「OAI-AdsBot」の許可は必須です。robots.txt、WAF、CDN、CAPTCHAで拒否しないようにします。
コンテキストヒントは広告グループ単位で書く補足情報です。何を、誰に、いつ表示したいかを書きます。完全一致のキーワードとして扱われず、特定の会話での表示も保証しません。地域の制限や除外の指示にも使えません。検索広告のキーワード設定を担当した経験がある場合も、この仕様を前提にした書き方を学ぶ作業が発生します。
作業量は広告にする商品・サービスの数、配信する国とプラットフォームの数、広告の本数に応じて増えます。最初は1つの商品・サービスと1つのキャンペーンで始めると、作業の全体像を把握できます。
代理店・運用代行に依頼できる範囲
依頼できる範囲は作業の順序に沿って3段階に分けられます。会社ごとに範囲は異なるため、見積書や契約書で確認します。
| 依頼の範囲 | 含まれる作業 | 依頼後に自社が判断できること |
|---|---|---|
| 出稿前の確認と設計まで | 広告ポリシーとの照合、広告にする商品・ページの選定、ランディングページのクローラー許可の確認、計測の設計、予算と課金方式の案の作成 | 出稿するか、どの商品・ページを、いくらの予算で広告にするか |
| 配信開始まで | 上記に加えて、計測タグの設置、広告マネージャーの設定、コンテキストヒントと広告の作成、審査への対応 | 審査の結果と、配信開始後の表示回数・クリック数 |
| 運用まで | 上記に加えて、週次・月次の成果確認、ヒント・広告文・予算配分の見直し、LLMO・SEOの施策との調整 | 広告費に対して、何件の問い合わせや購入があったか |
運用まで依頼する場合、報告の頻度と形式、広告マネージャーを自社の担当者が閲覧できるかを契約の前に決めます。
依頼した場合も、次の作業は自社に残ります。
- 出稿するか、続けるか、止めるかの最終判断
- 広告費の承認
- 広告文の内容が、商品・サービスの事実に合っているかの確認
- ランディングページの更新と、問い合わせへの対応
自社運用と依頼の判断基準
| 状況 | 向いている方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 掲載できる業種かが未確認 | 出稿前の確認から始める。自社で広告ポリシーと照合するか、この確認までを依頼する | 掲載できない場合、以降の作業と費用が不要になります |
| GA4とサイトのタグを自社で設定でき、広告の運用担当者もいる | 自社運用 | 作業の大半が、社内の権限で完結します |
| 問い合わせ完了をGA4で計測できていない | 計測の設計を先に行う。自社または依頼 | 配信後に計測を整えても、配信済みの期間の成果は測れません |
| 配信の設定は任せたいが、運用の担当者は社内にいる | 配信開始までを依頼 | 初期設定は1回で済み、運用の知識を社内に残せます |
| 週次で成果を見直す時間と担当者がいない | 運用まで依頼 | 見直しが行われないと、成果の低い広告に広告費が発生し続けます |
| ChatGPT広告を試すかどうかを、まず決めたい | 出稿前の確認と設計までを依頼 | 出稿の可否、広告にする商品・ページ、予算の案が得られ、出稿の判断に使えます |
| LLMO・SEOにも取り組んでいる | 運用まで依頼、または社内でLLMO・SEOの担当者と調整 | 回答の中で引用される施策と、回答の下の広告は、対象にする質問と予算を分けて設計する必要があります |
| 他の媒体の広告運用の経験者が社内にいる | 自社運用 | 週次の見直しと予算管理の経験を使えます。コンテキストヒントと審査は、ChatGPT広告に固有の仕様のため、学ぶ必要があります |
| 広告費が小さく、依頼の費用が広告費を上回る見込み | 自社運用、または出稿前の確認と設計までを依頼 | 依頼の費用も、広告の獲得費用に含めて評価する必要があります |
ChatGPT広告は初期段階のため、業種やキャンペーンの種類ごとの成果の基準はまだありません(OpenAIヘルプセンター「よくある質問」)。判断に迷う場合、段階的に進める方法があります。出稿前の確認と設計までを依頼し、その結果を見て、配信開始以降を自社で行うか依頼するかを決めます。
代理店を選ぶときに確認すること
見積もりを依頼するとき、広告にしたい商品・サービス、ランディングページ、計測の状況、月の予算を同じ条件で伝えます。そのうえで、次の7項目を同じ質問で比較します。
- **出稿前に業種と広告ポリシーを確認するか。**初期段階は掲載できる業種に制限があるため、契約の前に、自社の商品・サービスが掲載できるかを確認する会社を選びます。掲載できない業種だった場合に、費用が発生するか、ほかの集客方法の提案があるかも、あわせて確認します
- **計測の設計まで担当するか。**UTMの付け方、OpenAIピクセル、コンバージョンAPI、GA4のキーイベントの設計が依頼に含まれるかを確認します。計測は出稿前に整える必要があります
- **広告アカウントを自社の法人名義で作り、代理店を招待する形にできるか。**広告を出稿し請求先となる法人が対象国に拠点を置くことが、OpenAIの条件です。ユーザーは管理者・メンバー・閲覧者のロールを付けて招待できます。自社名義のアカウントなら、作業者はユーザーの招待で管理できます。代理店を変更するとき、招待するユーザーを入れ替える形で、アカウントと配信の履歴を自社に残せると見込まれます(根拠: 名義が自社であるため)。ロールごとの権限はヘルプセンターの「アカウントのセットアップ」で確認します
- **報告する指標と頻度。**広告マネージャーの指標とGA4の問い合わせ件数を、どの頻度で報告するかを確認します。指標はインプレッション、クリック、広告費、CTR、平均CPC、平均CPM、コンバージョンです
- **止める基準を事前に決めるか。**業種別の成果の基準がまだないため、他社の平均を目標にせず、自社の獲得費用の上限を決め、配信の前に書面に残します
- **LLMO・SEOとの関係を説明できるか。**OpenAIによると、広告はChatGPTの回答に影響しません。広告を出すと回答の中で推薦されやすくなるという説明は、OpenAIの説明と一致しません。このような説明がある場合は根拠を確認します。回答の中で引用される施策との違いはChatGPT広告とLLMO・SEOの違いで説明しています
- **費用の体系。**OpenAIへ支払う広告費と、代理店への費用が分かれて示されるか、最低契約期間と解約の条件があるかを確認します
回答が曖昧な項目は契約の前に書面で確認します。
依頼する前に準備しておくもの
- 広告にしたい商品・サービス: 掲載できる業種に当たるかを確認するために、候補を優先順位つきで用意します
- ランディングページ: 商品・サービスごとのページのURLを用意します。OAI-AdsBotを拒否していないかも確認します
- 現在の計測状況: GA4を使っているか、問い合わせ完了をキーイベントにしているかを整理します。タグの設置権限を持つ担当者が誰かも確認します
- 月の予算: 広告費と、代理店への費用を分けて決めます
- 判断する担当者: 出稿と停止の判断、広告費の承認、広告文の確認を担当する人を決めます
整理できていない項目がある場合、依頼の範囲を出稿前の確認と設計までにして、その作業の中で整理する方法があります。
よくある質問
代理店を通さないと出稿できませんか。
代理店を通さずに出稿できます。OpenAIヘルプセンターによると、日本は広告マネージャーのセルフサービスが利用可能です。広告を出稿し請求先となる法人が対象国に拠点を置いていることが条件です。業種の制限は自社で出稿する場合も、代理店に依頼する場合も同じです。例えば、金融サービス・ヘルスケアは米国以外で原則禁止で、法律サービスは米国以外で禁止です。自社で出稿する場合、前の章の7種類の作業を担当できるかを確認します。
広告アカウントは誰の名義で作るべきですか。
自社の法人名義で作成することをおすすめします(根拠: OpenAIが、広告を出稿し請求先となる法人を条件にしているため)。セルフサービスの支払いはクレジットカードによる後払いで、広告費はOpenAIから自社の請求先へ請求されます。代理店はユーザーとして招待し、依頼の範囲に合うロールを付けます。代理店の名義でアカウントを作成する場合、請求先と広告費の支払いを誰が行うかを契約の前に確認します。代理店を変更するときに、アカウントと配信の履歴を引き継げるかも確認します。国・通貨・タイムゾーンは作成後に変更できないため、作成前に自社で確認します。
代理店の手数料はどう決まりますか。
会社によって型が異なります。主な型は次のとおりです。
| 型 | 決まり方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 広告費連動型 | 広告費の一定の割合 | 割合の対象に、初期設定や広告の作成が含まれるか |
| 月額固定型 | 毎月一定の額 | 含まれる作業と報告の範囲 |
| 作業別の見積型 | 設定、広告の作成、運用などの作業ごとの見積 | 追加の作業が発生したときの費用 |
| 成果連動型 | 問い合わせなどの成果の件数に応じた額 | 成果の定義と、計測の方法 |
どの型でも、代理店への費用に広告費が含まれているかを、契約の前に確認します。自社名義のアカウントなら、広告費はOpenAIが自社へ請求します。広告費の最低日予算や課金方式の数値はChatGPT広告の費用にまとめています。
まとめ
- 日本の法人は代理店を通さずに広告マネージャーで出稿できます。掲載できる業種の制限は依頼する場合も変わりません
- 作業量、計測の整備状況、社内の担当者の有無で、自社運用か依頼かを決めます
- 依頼できる範囲は出稿前の確認と設計まで、配信開始まで、運用までの3段階です
- 代理店を選ぶときは業種と広告ポリシーの確認、計測の設計、アカウントの名義、報告、止める基準、LLMO・SEOとの関係、費用の体系を確認します
まず、自社の商品・サービスが掲載できる業種かを確認し、計測の状況を整理してから、依頼の範囲を決めてください。当社もChatGPT広告の運用を提供しています。依頼できる範囲はChatGPT広告運用に掲載しており、ご相談はお問い合わせから受け付けています。



